色なき風

入り組んだ町並み 光と影
以前とは 違って見える その姿に
石畳 思わず足を止め

待つ人のいない 錆びたバス停
人知れず 待ち続けた 手の届かない
青い空 昨日より高く

色なき風
今 ひとつの季節が終わろうと
伝えようとして
伝えられなかった想いを
あの角の先に そっと
置いてゆく

線路脇 揺れて咲く 白い花
目立たない 小さな その姿
色褪せることのない
ページに挿んで
ページに挿んで